CHALLENGE TIRE(チャレンジタイヤ)は、タイに生産設備を持つイタリアのタイヤメーカーです。
その源流は、イタリアの名門レース用タイヤブランド「CLEMENT(クレメン)」にあり、クレメンブランドがピレリ社に買収され自転車レース用タイヤの生産を中止したことにより、当時クレメンの代理店であったBREVO社が、クレメンタイヤの生産権をタイにある生産設備と多くの職人とともに買取り、レース用タイヤの生産を続けたことに始まります。
クレメンの商標は、ピレリ社が保有し続けたことにより使用できなくなりましたが、製品は当時から変わりのない職人の手仕事によるハンドメイドを続けており、マスプロメーカーによる機械生産のタイヤとは違う高品質なハンドメイド・レーシングタイヤを作り続けています。

ケーシング用の糸を並べる工程ケーシング用の糸を並べる工程 バイアスになるようカットしてタイヤのケーシングを作る工程バイアスになるようカットしてタイヤのケーシングを作る工程
ケーシングにチューブを収めバルブ周辺を手作業で縫製する工程ケーシングにチューブを収めバルブ周辺を手作業で縫製する工程 チューブラータイヤを筒状に縫製する工程チューブラータイヤを筒状に縫製する工程
天然ゴムのトレッドゴム天然ゴムのトレッドゴム チューブを収め筒状に縫い上げたケーシングにトレッドを接着するノン・バルカナイズ製法チューブを収め筒状に縫い上げたケーシングにトレッドを接着するノン・バルカナイズ製法



ハンドメイド・チューブラー
チューブラータイヤの構造チューブラータイヤの構造
1.トレッド
チャレンジタイヤのトレッドに使用される天然ゴムは反発弾性が大きく、耐疲労性が高く強度もあり、転がり抵抗が少ないという特性を持ちます。その特性を損なわないよう天然ゴムのトレッドは、加硫製法(加硫材を加えてゴムに熱を掛けて金型に入れて一体成型する製法)を行なわず、温度に敏感なラテックスゴムの接着剤を用いてケーシングに接着されます。

2.ケーシング
ポリエステルやコットンまたはシルク(絹)糸のシート(1インチあたり200~1,000程度)を、斜めに2〜3回折り返して形成しているので、糸はバイアスをかけられしなやかでコシのあるケーシングを作ることが出来ます。

3.インナーチューブ
ケーシングは継ぎ目のないラテックスインナーチューブの周りに筒状に縫製されます。ラテックスチューブは非常に柔軟で突き刺しパンクにも強い傾向があります。仮にチューブがパンクをしても、タイヤはフラットになるだけでリムから外れないのでブレーキを掛けて止まる事が可能で安全です。

4.コーティング
ケーシングのシートには、間隙を埋めるために軽量なラテックスが注入されています。高いTPI数のタイヤはしなやかです。柔軟なトレッドとチューブを使用すると、硬い加硫製法のタイヤよりもグリップ性が向上し、振動は最小限に抑えられグリップ性が向上します。

5.ベーステープ
内側の布ベーステープは、ケーシングの縫い目がチューブを擦るのを防ぎます。外側ベーステープは、リムの擦れから縫い目を保護し、リムに接着するためにベースとなります。


ハンドメイド・クリンチャー(オープン・チューブラー)
ハンドメイド・クリンチャーの構造ハンドメイド・クリンチャーの構造
ハンドメイド・クリンチャーはリムから外すと平らになります。ハンドメイド・クリンチャーはリムから外すと平らになります。
ハンドメイド・クリンチャー(オープン・チューブラーとも呼ばれる)の構造は、チューブラータイヤと同じ製造工程を経ています。ケーシングが筒状に縫い合わされるか、ケーシングの両端にビードを挟み込むかの違いだけです。柔軟なラテックスチューブとハンドメイド・クリンチャーの組合わせでは、限りなくチューブラータイヤの性能に近いものとなります。
工場で大量生産される加硫製法(バルカナイズ製法)のタイヤは、ホィールに装着したタイヤの形状そのままにトレッドとカーカスが一体熱成型されますが、チャレンジタイヤのハンドメイド・クリンチャーは、ホィールに装着していない状態では、上の写真のように真っ平らになります。トレッドの天然ゴムにはストレスが掛かっておらず素材の特性をフルに生かすことが可能です。


チャレンジタイヤの特性
ノン・バルカナイズ製法(非加硫製法):チャレンジタイヤのハンドメイド・チューブラーやハンドメイド・クリンチャーと、大部分のマスプロメーカー製クリンチャータイヤとの主な違いは、タイヤが製造中に受ける加硫と呼ばれる熱と圧力のプロセスを避けていることです。 加硫プロセスは材料を成型するためにおこなわれますが、ゴムがより硬くなり乗り心地が損なわれます。 チャレンジタイヤのハンドメイド・チューブラーとハンドメイド・クリンチャーは手作業によってトレッドが接着され、ラテックスとラバーは理想的な品質・特性を維持しています。

スレッド数(TPI):スレッド数は、チューブラーとオープンチューブラーの重量、柔軟性、耐久性において重要な役割を果たします。 1インチ当たりのスレッド数(TPI)が高いほど個々の糸は細くなり、より薄くて軽いケーシングで、よりしなやかなタイヤになります。 低TPIケーシングでは、より耐久性があるタイヤとなります。注意していただきたいのは、一部のマスプロメーカー製のタイヤでは、このスレッド数を折り返して重ね合わせたケーシングの合計スレッド数をもって「300TPI」などと表示していますが、チャレンジタイヤでは、コアスパン320TPIのタイヤで1インチ当たり320本の糸を並べた板状の素材をバイアスに折り返してケーシングとしています。「セタ」と呼ばれるシルクのケーシングではスレッド数は1000以上にもなります。


トレッド:チャレンジタイヤのトレッドは、天然ゴムを原料としています。天然ゴムは大部分のタイヤメーカーが使用する合成ゴムよりしなやかであるばかりでなく、乗り心地やグリップ性もはるかに優れています。

Puncture Protection Strip(PPS):パンクの危険性を減らすために、ケーシングとトレッドの間に高抵抗の特性を持つユニークなファブリックが挟み込まれています。 突き刺しパンクのリスクを伴う激しい状態での使用を想定したタイヤには、ケーシングの下に追加PPS層を入れることによって補強されています。


シームレス・ラテックス・インナーチューブ:チャレンジタイヤのラテックス・インナーチューブは、自社工場で生産されており、ハンドメイド・チューブラーのすべてに採用されています。ラテックスはブチルチューブより、しっかりタイヤに密着する弾性および衝撃吸収特性を持っています。優れた弾力性は転がり抵抗を減少させ、快適性とスピードを向上させます。レース用タイヤにとってラテックスは最良の素材といえます。



使用上の注意
  • チャレンジタイヤのタイヤサイドに貼られるラベルは、経年変化で黒く変色したり剥がれたりする場合があります。これは不良ではなくトレッドに使われる天然ゴムの変質を避けるために、ラベルの硬化に必要な加熱処理(165℃で約5分)をおこなっていない為です。美観は損なわれますが、タイヤの性能に影響はありませんのでご安心ください。
  • 天然ゴムを使用したトレッドは、反発弾性が大きく、耐疲労性が高く強度もあり、転がり抵抗が少ないという優れた特性を持ちますが、競技用タイヤとしての性能を優先し耐久性を高める加硫処理をおこなっていないために鋭利な小石などでトレッド面に裂傷がつきやすくなっています。長くご使用いただくために、傷を発見したら瞬間接着剤などで傷を埋めて補修してください。
  • チャレンジタイヤに採用されているシルク(絹)やコアスパン(コットン)・ケーシングは柔軟性に優れる分、非常にデリケートな天然素材です。ケーシングは薄くラテックスのレイヤーで養生されていますが、従来品よりもその取り扱いには注意を払ってください。ブラシ等で強くゴシゴシ洗浄すること、高圧洗浄機を使用すること、薬品や溶剤を使用して洗浄すること、そして磨耗によってケーシングは痛み製品寿命が縮まります。
    もしレース中の使用で濡れた際には直射日光の当たらない場所で乾燥させてください。使用しないときには軽く空気を入れた状態で乾燥した適度な室温の暗所で保管してください。タイヤのケアに気を払っていただけば、より長く高性能タイヤの性能を維持することができます。
  • シクロクロスに使用する場合は、ヨーロッパのレースシーンではケーシングを養生するために、タイヤを貼る前に「アクアシール」等の防水処理剤を塗布して保護するのがポピュラーです。