ピナレロとイノベーションは同義です。
ピナレロは現状を常に疑問視し、一貫して新しい考えでチャレンジして問題を解決し、ロードバイク(今ではMTBも)のレベルを引き上げる努力をしています。我々はすべてが始まったのと同じ場所で夢を見て、計画をして、テストをします。
イタリア・ヴェネト地域の中心、ヴィルロッバの、かつてからある基盤の上に新しい社屋が建てられました。
この新社屋は1956年より少し快適な環境となりました。しかし、優秀さを追い求める情熱は今も昔も同じです。
Think Asymmetric™
本当の“均等”を生み出す非対称フレーム
自転車フレーム(特にレース用)には強い非対称な力が作用します。加えられる強い力のために、その荷重はライダーの体重の二倍を越える場合もあります。
サイクリストの体形に由来する小さな違いは別として、ペダルに加えられる踏み込む力は左右ほぼ同じですが、
チェーンが常に右側のみで後にホィールを回転させる力を伝えているために、その力は左右非対称なものになります。
この現象を確かめるのは比較的簡単です。ピナレロ社では数年前から新しいプロジェクトを始める際に、有限要素分析法を用いて理論を確認しています。
このような計算をして、ラボでもテストして確認されます。どちらの手法でもフレームは横に曲げる力が加わっているのが確認できます。
最大の力(1500Wの力でスプリンターがペダリングしている)が加わると仮定してシミュレーションすると、
フレーム構造は右へ1〜2mmたわみ、左には2〜3mmたわむように変形します。
これらは剛性の高いフレームを作る場合には片側で非常に硬すぎ、軽量なフレームを作るときには片側が柔軟になりすぎます。
カーボンファイバー製フレームは、カーボン生地の種類や数、積層の向きを変えることにより簡単に強さを調整できるようになりました。
しかし、デザイナーは各セクションの剛性は壁厚よりも形状に依存する度合いが大きいと知っています。
(この概念はオーバーサイズチューブを採用する基礎となっている)
したがって、フレームの動作を最適化するために私たちは、壁厚よりも構造体の各セクションの非対称性に焦点を当てる必要がありました。
これは、“AI(人工知能)”のコードとFEM有限要素法解析を組み合わせた最新の計算手法のおかげで可能となりました。
これらの方法は、ペダルを踏む(押す)ことに起因する異なる反応を最小にするために必要とされる形状変更を自動的に導き出すことが可能です。
チェーンを引く力の影響
ペダリングは左右交互に対称な力が掛けられます。
反対にチェーンの引く力はペダル左右の入力に対して常にフレームの右側にあります。右ペダル入力+チェーン駆動力は増幅され、左ペダル入力+チェーン駆動力は右側ほど大きな荷重にはなりません。その結果、2種類のストレスが生じて全体のたわみへが発生します。
右側スラスト(押す力) + チェーンを引く力
左側スラスト(押す力) + チェーンを引く力
これらは対称ではありません。
なぜなら、最初のケースでは2つのストレスは相互に増幅され、そして次にそれらは相互に減衰させあいます。
このふたつの異なるストレスの最適化が、ピナレロバイクを設計する基本理念となっています。(patend pending)
上の図はペダルをストロークさせたときに、フレームとフォークがいかに左右で異なった荷重を受けているかを示しています。
ONDA FORK
ONDAフォークは、ピナレロのアイコンといえる最も特徴的なテクノロジー。
2002年に登場したプリンスSLで初めて採用され、本来であればフロントフォークはJ字形にカーブするのが常識であった時代に、
逆S字カーブを描くピナレロのONDAフォークは、その見た目からも異彩を放った。
ONDAフォークを搭載したプリンスSLや、その後登場したドグマが、グランツアーで勝利を量産するようになると、その性能は認められ今日へと続くピナレロのアイコンとなった。
ONDAフォークの特徴は、「ピナレロハンドリング」と称されるほど、正確にラインをトレースでき、高い剛性と減衰性能を誇り、特にダウンヒル時のコントロール性能には定評がある。
TiCR
TiCR(トータル・インテグレーテッド・ケーブルルーティング)の採用により、バイク全体の空力特性が劇的に改善されます。
各種ケーブルは、ハンドルバーからステム内を通り、大口径化されたヘッドベアリングの空間を抜けてフレーム内に導かれます。
特にハンドルバー周辺は、従来の方式と比較して、剛性は8%高く、空気抵抗が5%低く、重量は10%も軽減されます。
TiCRによって、ハンドルバーを含むコクピットシステムとフレームは完全に統合され、バイク全体でのエアロダイナミクスの向上へ繋がっています。"
TORAYCA CARBON
DOGMA F8から続く革新的なプロジェクトには、強力なカーボンファイバーを必要としました。
東レ(株)は、我々へ独占的にカーボン素材を供給してくれました。日本を本拠にする繊維素材メーカーである東レ(株)は、特別なファイバー製品を生産できる能力を持ち、
最も重要な航空宇宙と自動車産業に素材を供給できる生産テクノロジーと、新技術を開発する革新性を併せ持つ素材分野での世界的リーダーです。
東レ(株)のトレカ部門は、新しく開発したNanoalloy®テクノロジーを適用した最新の炭素繊維材料「T1100G」をピナレロに提供しています。
炭素繊維は、ポリアクリルニトリル(PAN)繊維を数度に渡る複雑な高温の炭化工程を経て生み出される幅5〜8マイクロメートルのフィラメント(極細繊維)です。
そして今日市場に存在する破損重量に対する最も高い抵抗値を持つ材料です。
DOGMA® F8から続くDOGMAシリーズに使われている最先端炭素素材「T1100G」は、高い剛性対重量(E /ρ)および強度対重量(σ/ρ)比を持つ革新的な材料です。
例として:TORAYCA® 65.1HM 1Kを使用するDOGMA 65.1は、サイズ54で約940grですが、同じ構造的特徴で比較すると、T1100 1Kカーボンを使用した場合、同じサイズで約 80gr 軽くする事が出来ます。
この優れた重量比強度を持つカーボンファイバーは、最新の航空機にも用いられ、DOGMA FやBOLIDE F TTなど、ピナレロのトップカテゴリーのバイクに使用されています。
Torayca®(Nanoalloy® Technology)は、標準品質のカーボン繊維と比較すると、59%も優れた性質を示しました。
一般に、大きな衝撃を受けるとCFRP(カーボン製コンポジット)は破損します。
それは、サイクリストを傷つける可能性に繋がります。
東レは高性能CFRPの研究開発において、Nanoalloy®テクノロジーを適用した、耐衝撃性に優れる新規マトリクス樹脂を開発しました【東レHP参照】。
ピナレロ製65HM1Kフレームは、この東レ Nanoalloy®テクノロジー適用の新規素材を採用することで、フレームの耐衝撃強度を高めることに成功しました。